新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

ひかりTVビデオざんまいプランで12月に見た映画一覧(13本)

12月の視聴本数は13本と、11月よりさらに少ない記録になった。なぜかというと、師走は、仕事や年賀状などで、リアルに余暇が減る。そんな少ない余暇を費やして、11月分の映画感想文を書いていたのだ!だから、新たに映画見ている時間がなくなったのだ!HAHAHA!ナイス真理!

リキを入れた感想文だ。書くのは、至極楽しかったが、時間がかかりすぎるので、12月分は、ひとことコメントにて済まそう。

って、言いながら、やっぱ長ぇよな!

(1)えびボクサー(2002)

えびボクサー [DVD]

公開当時も「なんだこれは」的評判の高かった、確信犯キワモノ映画。キワモノ道を極めている。なぜそうまでして、キワモノ道をゆくのか…キミのゆく道は…はてしなく、バカだ…

タイトルそのまんまの内容に、あっきれかえるがよい!腹筋崩壊するがよい!えびのリングネームは、「ミスターC」だっ。だっ。

(2)クイズ・ショウ(1994)

クイズ・ショウ [DVD]

ロバート・レッドフォード監督作品。最近の若い子んたーにとっては、この名前は俳優としてよりも、監督としての印象のほうが強いかもしれんね。

テレビのクイズ番組に一般回答者として出場している「秀才」さんたちは、「やらせ」なわけです。21世紀の現代的な頭では、そんなこと、大きな問題じゃないように思うのですが、1950年代の史実をモデルに作られたこの映画では、クイズ番組の「やらせ」を、大問題として扱っています。

ではなくて。

今作の主眼は、高潔な精神とはなにか?を問うことです。真のインテリジェンスは、虚栄心に打ち勝つことができるか?これは、千万の敵と闘うよりも辛い、自分との闘いです。この道程を、クイズ番組とそれにかかわる人々を通して、こんこんと描いた、ロバート・レッドフォード監督らしい、まじめな一編です。

(3)ペリカン文書(1993)

ペリカン文書 [DVD]

有名な映画だが、初視聴。見た直後は、しぶくて、まじめで、いい映画だと思ったが、視聴後一ヶ月経った今、思い出すと、あらすじしか浮かんでこない。権力サイドの秘密を知った主人公サイドが、弾圧と戦いながら正義を訴えるというストーリーの映画は、ここんとこ、ひかりTVで、たくさんたくさん見ている。

その中で、心に残った映画には、普遍的なテーマがあった。人間性の尊さであるとか、信念であるとか。

例:11月度の「インサイダー」

精神性にガツンと訴えるものがないと、これら謀略ものは、ただ政治的な駆け引きを描くだけになってしまう。政治なんか、人間性の尊さから見れば、はるか下位に属するものだ。しかもアメリカの政治家のメンツなんか、俺の知ったことか。

ペリカン文書」も、ジュリア・ロバーツデンゼル・ワシントンが、信念を貫こうと奮闘する「様子」は描かれているが、「様子」が見えるだけで、心理描写が薄いのだ。

記者デンゼル・ワシントンの上司である編集長役が、俺の大好きなナイスミドル(死語)、ジョン・リスゴーなのは嬉しかった。ジョン・リスゴーは、「クリフハンガー」の悪役ボスの人だよ。エロ男前なのさ。

(4)バースデイ・ガール(2002)

バースデイ・ガール [DVD]

ネットで花嫁を注文した、エゲレスの銀行員。仕事にかんしては、まじめ一徹だった彼は、女にかんしては、このようにふまじめ一徹だったので、しっぺ返しを食らいます〜というお話し。

フロム・ロッシァ〜の花嫁役、ニコール・キッドマンは、相変わらず、年齢不詳の美しさ。ハイビジョン配信なので、ニコールの肌のネチネチ感触まで、手にとるようにわかります。

軽いコメディ映画だが、ニコールの肌とか、イギリス郊外の美しい風景とかを、見てすっごく得した気分になるのは、撮影がうまいからかな?

(5)シークレット・ウィンドゥ(2004)

シークレット ウインドウ [DVD]

個性のないことがいい役者、ジョニー・デップ主演。役柄に合わせて人柄をガラリ変えるデップらしい、「誰?」な主人公。小説家が主人公なのは、スティーブン・キング原作だ。

おどろおどろミステリーに、空気のきれいな田舎の自然を映し出すキャメラが、よく似合う。デップのさりげない表情や、ショッキングな場面なのにショッキングさを盛り上げない演出に、好感が持てる。

(6)フェイク(1997)

フェイク エクステンデッド・エディション (2枚組) [DVD]

若いころになると、さらに「誰?」感が増す、ジョニー・デップ主演。若すぎて、ただでさえ薄い顔が、薄くて薄くて、印象薄い。FBI捜査官のデップは、ヤクザになりきって、アル・パチーノ演ずる本物のヤクザの組員になります。印象の薄い顔だから、囮捜査官の役柄に合ってるのかも。

この映画はいい。心理描写が深く、ストーリーも起伏に富み、見ごたえがある。

イタリア系マフィアのアル・パチーノは、悲壮感ただよい重厚だし、若いデップは、仕事上でも私生活でも、我慢に我慢を重ねて苦しんでる。ふたりのおうちインテリアが細かく描かれており、アル・パチーノが料理するシーンにはクスリと笑える。

(7)トラフィック(2000)

トラフィック [DVD]

アメリカとメキシコを縦断し、複雑に入り組んだ麻薬汚染網を、たくみに描いた映画。ムスコダグラスも、いる〜。

一瞬でも目を離すと、わけがわからなくなる、入り組んだ人間関係。舞台がアメリカの場合と、メキシコの場合で、画面全体に色をつけて判別できるようになっている。

題材は「麻薬」だが、テーマは「人間」に特化しており、示唆に富んだ秀作。

(8)プレステージ(2006)

スマイルBEST プレステージ スタンダード・エディション [DVD]

題材は「奇術」で、テーマは「人間」のはず、なんだが、題材の特殊さに偏ってしまい、テーマがにぶくなってしまった例。マジシャン同士のライバル意識から、人生を大きく踏み外してしまう主人公、とライバル。画面作りは丁寧だが、残虐性が前面に出すぎ。

脚本は、前半は退屈で寝そう。伏線になってた謎が明かされる後半は、テンポはよい。謎の解明は中盤で予想がつくが、しかしなァ…人間の創意工夫と、努力で成し遂げられるはずの奇術に、科学と呼んでるだけのSFが、絡んでくる部分が鼻についたな。

俺ァ、生身の人間が苦労することに美徳を感じるので、ビックリドッキリメカで解決するのは、好きじゃないんだ。映画では、メカに人間の苦労が勝ったかのようなオチがついたが、なんにせよ、テーマ性が低くなってしまったのが残念。

(9)サンタクローズ(1994)

サンタクローズ [DVD]

世界初!驚愕!あの謎の存在が、ついに実写化!

サ ン タ ク ロ ー ズ (シャンシャンシャンシャン…鈴の音)

という、映画館で公開された当時の予告編が、記憶にある作品。何度も見てるけど、クリスマス前に見返したくなったわけ。

イブの夜、自分ちの屋根から落ちて死んだサンタの後継ぎに指名されてしまったパパが、息子のために奮闘する。クリスマスシーズンに適したコメディ。特撮は、いま見ると、つたない面もあるが、それもご愛嬌。

(10)ジャッカル(1997)

ジャッカル デラックス版 [DVD]

ジャッカルの日」の現代版オマージュ。と書きながら、インスパイア元のほうは見ていない俺。この映画は怖くて、スリリングで、心底、ワクドキした。

殺し屋を演じたブルース・ウィリスは、こーゆー暗い役が、よく似合う、ぶっさいく。対抗する元殺し屋、リチャード・ギアの地味な顔は、殺し屋らしくなくて、まるでいい人みたいだ。

ロシアの女軍人が、ヘヴィーで厚情で、よき存在。

殺し屋ブルース・ウィリスが、ゲイの男性にゲイのフリをして接近するため、ディープキスするシーンはすごかった。ぶもぁ〜っと、ウィリスのほっぺたが、ぶもぁ〜っと起伏する、本気キッス。おお、すげえ。ウィリスの本気を感じた。なんの本気って?役者魂への本気に決まってるじゃないのさ!

(11)アイデンティティー(2003)

アイデンティティー CE [DVD]

ネタバレをゆってはいけない映画なので、ここにも書きませんよっ。

推理ものは好きだ。この映画は、まあまあ、なかなかヨイ。張りめぐらされる伏線。途中から、あれ?これって、現実に起きた事件なの?なんか、おかしくないか。あれぇ?…どんどん、おかしくなっていく。

怒涛のように、地獄に突き落とされるラスト。

(12)パニック・ルーム(2002)

パニック・ルーム [DVD]

屋敷ものサスペンス。タイトルと場面写真だけ見てて、ホラー(非現実)かと思ってたら、すごく現実味を帯びた恐怖劇だった。

主演はジョディ・フォスターだが、ニコール・キッドマンで撮影していたところ、ニコールがケガをしてしまい降板、ジョディにバトンタッチしたという、いわくつきの作品。これのニコール版も見たかったなあ!俺、ジョディよりニコールのほうが好きだもんな。いや、今作のジョディもよかったですけどね。好みでは。はい。

パニック・ルームとは、自宅に作られた避難部屋のこと。押し込み強盗が入ってきたさい、通報して外に逃げるのは間に合わないから、この部屋に逃げ込んでやりすごすという、西欧には本当にあるらしいへんな部屋。外からは絶対開けられない仕組みで、室内には数日分の食料や、トイレもあるというスグレモノ(?)。

そんなパニック・ルームつきの邸宅に引っ越したヒロイン母娘は、引越し当夜に、ホントーに押し込み強盗に入られてしまい、ルームに逃げ込みます。一方、強盗たちは、ここは留守の家だと思っていたのです…

(13)チャプター27(2007)

チャプター27 [DVD]

ロンブーの番組がきっかけで、この映画、すげえ見たかったんだ。ひかりTVで見っけて俺、大喜び。

ジョン・レノンを殺した犯人、マーク・チャップマンの独白形式で、殺害までの三日間を描いた異色作。と、ゆーだけでも、興味そそられまくりだが、この映画で犯人役を演じた若い役者、ジャレッド・レトが、役作りのために、壮絶なダイエットに挑んだことが、テレビ番組「ザ・ベストハウス123」で紹介されていたのだ。

ダイエットと言うと、やせることかと思うが、この言葉は、体重を恣意的に操作する行動を指す。ジャレッド・レトは、撮影時、弱冠36歳。この若さで彼は、今作の製作総指揮をも務めている。彼の演技力と、犯人本人に顔が似てることから、主役を演ずることになった。

ただし、百貫デブになること。

そう、犯人のマーク・チャップマンは、デブなのです。

中肉中背の、フツーの美男子なジャレッド・レトは、短期間で30キログラム太るため(死んじゃうよー!)、エブリデー毎日、常温にもどしたアイスクリーム(うげー!)を、バケツで飲み続けたというのです。ウギャー、かわいそうー!

アイスクリームなんて、凍ってるから美味しいのであって、常温ドロドロにしたら、ただの砂糖と乳脂肪のカタマリですものね。ゲル状の、甘くて脂ぎった汁を、バケツから、毎日、ズビーズビーすするだなんて…

どんなにか、辛かったことだろう。つか、フツーに生命の危機やんか、こんなことしたら。死ななかったのが、幸いやがな。

俺が感嘆するのは、ジャレット・レトの役者魂と、あちらの芸能界の、気迫だ。映画に出るという行為は、映画を作るという行為は、イノチガケなのだ。

「チャプター27」の監督は新人を起用。ジャレッド・レトは、これに主演したからといって自分の出世作になるかどうか、予想なんてできない。このような冒険のために、命をかけて30キロも太る、そんな努力のできる役者、ジャレッド・レトは、すごい人物だ。

そして、ひとつの映画に賭けるために、仕事に没頭できるだけの環境を与える、芸能界もすごいと思う。

髪型ひとつ、作品のために変えられない、日本の、安いやっすい芸能界は、見習うべきだ。

ちなみに、ジャレッド・レトの経歴を「チャプター27」見た後で調べたら、いっこ前に見た「パニック・ルーム」と、10月に見た「17歳のカルテ」にも出演してたとわかった。

体型ちがいすぎて、誰だったか、わかんないんだぞ!

映画本編は、見事に尽きる。倒錯した犯人の心理は、本人にとって、「実に普通」である。普通に独白しているつもりの犯人の言動、行動、そのひとつひとつの微妙な異常性を、この映画は、暴き出す。

なぜ、彼はジョン・レノンを殺さねばならなかったのか?納得できる説明など、この映画にも、実際の犯人像にも、かけらもないのは、俺が言うまでもない。かくも悲惨な殺人事件が、「実に普通」な、青年期にありがちな、誰しも通る道な、ありきたりな「嫉妬心」によって引き起こされた事実が、ここにある。

「チャプター27」は、犯人を美化せず、事件を美化せず、かといって、こき下ろすこともしない。犯人本人の目線で、自分自身を語らせることによって、青年期特有の残酷性が…いかに、みっともないか…を、訴えている。

だから、ジャレッド・レトは、みっともない、現実のマーク・チャップマンの姿にならなければ、ならなかったのだ。現実に、ブクブクに、太らなければ、ならなかったのだ。