新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

第38話 主人公、山内一豊。

今回も良かった。脚本も演出も、役者さんの演技も、隙がなく、はじめから終わりまで、感涙しっぱなし。贔屓の中村一氏さんは出なかったけれど*1、俺は満足です*2
前半部、成宮寛貴さん演ずる秀次が、自分の宿命を受け入れるくだり。千代と、永の別れをするシーンで「にこり」と笑った刹那。あんとき、秀次の内的世界に、一気に惹きこまれました。俺は成宮さんのことは「あらしのよるに」の声優の、ヤギの方ぐらいにしか認識してなかったのだけども、秀次役は、まっこと秀逸でした。童顔を自覚し、それを最大限に生かした表情を作っておられて。見事な役者さんだなあ。
後半部、今回はちゃんと玄関から入ってきた六平太が、庭にいた千代と話し込んでました。捨て子の拾くんを、山内家の後継者争いに、巻き込んではならヌぞと、人生アドバイスをする六平太。ウツロな表情がいかしてます。ふと思ったのですけど。以前、六平太が、山内家に雇われていた頃。香川照之さんの演技力・存在感の凄まじさに、他の役者さん全員が、完全に食われてしまっておりました。画面の中心になって演じている役者さんより、バックで立っているだけの香川さんの方が目立っており、「ガラスの仮面」で北島マヤが、舞台荒しと呼ばれていた頃を彷彿とさせられたもんですが、最近の六平太は、「目立たない演技をしている演技」になっていることに感心しましたねえ。回ごとに、目立つ・目立たないをセレクトして演じ分けられる方なのだなあ。
今回、俺を視聴者を、泣かすという、難しい仕事を成し遂げたのは、拾くんでした。熱心に武術の稽古に精を出し、勉学に励み、両親への恩に報いようと努力する少年。そんな彼に、出家せよと言わなくてはならない、山内一豊
「わたしが、捨て子だからですか。」と嘆ずる拾くんの姿に俺は、「リーンの翼」第6話での、在日韓国人・金本平次くんが言った「エイサップだって!差別されていたんじゃないのか!」を思い出して涙。さらに、「カムイ伝」で、非人部落の少女ナナが、百姓の正助に恋をし、露天風呂に入っている彼に問いかけると正助は、裸を見られるのを恥じて、ナナからはなれようとするのだけど、それをナナは、自分に触れられるのを彼が嫌がったのだと勘違いして、「わ…わたしが、非人だから?」と涙するシーンを思い出して、俺は涙。つまり出自によって虐げられる者にしか感じえない「痛み」を思い、胸が張り裂けそうだったよ俺は。ごめん例えが長くて。でもこれは、言いたいんだ。
子役・拾くんの演技は、もちろん素晴らしかったのですが、俺が感動を新たにしたのは、上川隆也さんの、主人公としての存在感でした。脚本も上川さんも、意図して、前回までは、一豊は目立たない、地味な役どころに置いて、今回、ぐいっと、武将らしさ、父親らしさ、男の辛さを、全面に出してきました。やられました。40代後半になった一豊は、いつも今まで、千代の前で、耐えて、耐えて。家臣の前で、同僚の前で、主君の前で、耐えて、耐えて、耐えて!そして、我が子として可愛がってきた拾くんを、家から追い出さなければならなくなって!一豊こそ、実子・よね姫を失い、実母を失い、主君秀次を失って、いつも今まで、いちばん号泣したかっただろうに。泣き落ちる妻を抱きしめ、自分は、耐える。男が立場を持ち、人を従えるためには、どれだけの苦しみに耐えなければならなかったのかを、切々と描いた、今回のお話しは、本当に良かった。
次回、第39話。唐沢寿明さん演ずる、前田利家登場!「利家とまつ」の感動プチふたたび!「利家とまつ」も思い出深い作品で、語り出したらとまらんのだよ。あー、カラカラカラカラ唐沢さん出る♪楽しみだのお。

*1:二秒ぐらい出てたそうです orz

*2:十二秒ぐらい出てたそうです orz orz