新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

第42話 ヒロイン千代、立つ。

俺は、「功名が辻」第1話から毎回、感想文を書いてきて、ヒロイン千代について論じたことは、何回かあったけれども、手放しに誉めちぎったことはない。仲間由紀恵さんは、よく頑張っておられるけども、大河の主人公としては、なにか精彩に欠くと。でも最初の頃は、仲間さんは、生き生きしていて良いと思った。彼女のコミカルな演技で、時折笑い転げた。ところが、千代が若い頃には、仲間さんの「地」で通った演技が、愛娘を失った頃から、物足りなく感じるようになっていた。関ヶ原前夜である劇中にあって、千代は40歳を越えた年頃。そして山内一豊の妻が、戦国の賢妻と呼ばれる、有名なエピソードを描いたのが、今回なのである。
…で…すごく、よかった!俺ァ、仲間さん見直した。千代愈々立つ、千代益々隆盛だなと思った。
徳川ナイフにつくか石田ジブにつくか、判断に迷う夫ツシマノカミへと、密書を送るため、使いを出す千代。使者の傘のひも内に、内緒レターを仕込むというのが有名エピソード(らしい)のだが、密使素人が関所を抜けられるよう、六平太にボデーガードを頼むのがイヤハヤなんとも。六平太は、山内家の間者でもなんでもないのに、命がけで密使を守ってくれちゃう=千代のために尽くしてくれちゃう。
前から思ってたんだけどさ、六平太の存在って、女の夢なんだよね。幼馴染みで、わたくしのことを何でもわかってくれて、困った時には身をていして助けてくれて、なおかつオットコマエで。んで、正式な旦那は一豊!六平太とはおともだちなの!当然のようにキープなの!超・女に都合のいいキャラ六平太!そんな彼のけなげさには、見てて気の毒になっちゃいますフフフ。最終回までに、六平太がどうなっていくのかにも、注目ですなあ。
今回の一番の見どころは、なんと言っても、ヒロイン千代が、石田ジブの人質になることを拒絶し、迎えに来た不破万作さんにタンカを切るシーンだ。「わたしは、ダンナさま以外の男のゆうことは聞かへん!あんた、どんだけえらいじん*1か知らんけど、わたしに命令出来るのは、この世でただ一人、ダンナさまカズトヨさまだけなんじゃ!けぇってけたぁーけ!*2
私は夫にしか従いません、か。妻にこう言ってもらえる男は、男冥利につきますなあ。そして、千代の振る舞いは、この時代の、武家の女が、いかに忠義心厚く、たくましかったかを描いており、俺ァ、胸がスカッとしましたよ。大河で戦国時代を描かせると、ともするとね、他の女脚本家ならば「封建時代の女は、抑圧されていて弱かった」とか、被害者意識一辺倒で、オイオイ泣かせたりしてきたけど、千代は、大石静氏は、違うね。夫を立てることは自分を立てることであり、また千代のような利発な女性が尊ばれたこの時代は、現代的な視点で「性別でサベツされた時代」と断ずるのは不適当だと、本日の放送を見て思いましたね。歴史認識とは、後世の作家による創作だとは、常々思っておりましたが、この台本はつくづく、いい出来です。なにより仲間由紀恵さんが、円熟され、良くなってきました!脇役にばかり目がいく俺が、今回はヒロイン千代に釘付けさ。「功名が辻」、最終回の近いこの時期になって、がつんと面白くなってきましたねっとぃ。

*1:えらいじん=身分の高い人

*2:けぇってけたぁーけ=この無礼者、帰りなさい