新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

第23話 濃姫は本能寺にあり

昨夜は、腹痛で感想文が書けませんでした(涙。放送時には、濃姫の死に顔をスケッチしたりして、非常に興奮しましたよ。なんと言っても、このたびの「本能寺」は、濃姫!のうひめ!美濃のお姫様だから濃姫

本能寺の変は、大河でも他のドラマでも、映画でも小説でもマンガでも、何度も何度も何度も描写されてきた、日本史上の有名エピソードであります。われわれ視聴者は、「このたびの本能寺は、どんなふうに描かれるかな?」という目で見ているフシがおおいにあると思われます。そんな中、「功名が辻」の本能寺では、信長のかたわらに、和久井映見さん演ずる濃姫が、いてくれました。

俺、誰が、誰のそばに「いてくれた」っていう表現が好きで、よく用います。今回の本能寺では、夫の、死出の旅に添い遂げる妻の姿に、いたく感動しました。ああ、そうか、このドラマは、恋愛ドラマだからなあ。夫婦愛がテーマだものなあ。だから、翼を焼かれる彼は、片翼のままではなくって、両翼を持って、黄泉の国へと羽ばたいたのだなあ。

和久井映見さんの面(おもて)の、美しさ、ここに極まったという感があります。当初、舘ひろし氏の妻役としては、若いと思っておりましたが、最後になって、円熟した女のふるえるような美を創り上げたと思いました。彼女の顔立ちは、鼻筋が丸みをおびツンととがってて、目は黒目がちで、眉は弓形で、口元は芥子の花びらのよう。狐か猫のような、独特の顔で、前から好きな女優さんでありました。「動物のお医者さん」の菱沼さん役で見せた、コメディエンヌぶり。濃姫の悲劇性。加えて、この本能寺で、老獪な女の魅力をも体得された。喜劇も悲劇も、和久井ワールドにしてしまう存在感。

濃姫の最後を看取る演出、脚本も壮絶でした。銃撃戦ときたか!織田信長、御自ら銃を撃つ!そして濃姫は、長刀(なぎなた)ではなくって、短刀で、ズバズバ敵兵をやっつけるんですものよ。かっこよすぎ。強いぞ!濃姫。戦闘能力、森蘭丸より高いんじゃないのかすら。

一方、明智光秀は、「敵は本能寺にあり。」と宣言したそこに、ラヴだった濃姫がいると分かるや、愕然とします。でも、もう遅い。覚悟を決めた彼女は、

ああ…「功名が辻」で、こんな絵を見ることになるとは…

本能寺の境内で、蜂の巣になって、こときれるとは!銃撃とは、かくも悲惨で、銃の音とは、かくも乾いていたことか。パン、パン、パン。女盛りの肉体に、激しい情欲を燃やした、彼女は、さ。光秀へと、不倫の恋文をしたためたあのひとは、さ。白磁の肌を、愛欲で濡らした女は、さ。パン、パン、パン。竹筒が倒れるように、死んでいったのさ。夫とともに、あちらに、逝ってしまったのさ。

彼女が、言ったさ。血潮に落つ、彼に。

濃「殿の御名こそ、永久に残りましょうぞ。」

そう言った彼女は、父・斉藤道三に付けられた名ではなく、ずっと、こう呼ばれていたんだよね。

美濃の姫、濃姫と!