新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

長谷川京子VS坂東眞砂子

敢えて、このタイトル。俺はさっき、日テレで放送された、終戦記念特別ドラマ「最後のナイチンゲール ひめゆり隊と同じ戦火を生きた少女の記録」を見終わった。長谷川京子さん主演の、沖縄戦を描いた意欲作に感動した俺は、これについての記事を書こうとパソコンを起動し、ブラウザを開いた。ホーム(ブラウザを開いた際に表示させるサイト)が、自分のアンテナになっているため、愛読サイトさんの新着記事が、目についたのだ。作家・坂東眞砂子さんが、飼い猫の子供が生まれるそばから、崖下に投げ捨て殺しているというニュースである。

たきがはさん作「されど平穏な日々」日本経済新聞8月18日夕刊の記事
http://tanpoko.blog.shinobi.jp/Entry/49/

マオアキラさん(はてな id:kazeskさん)作「MAOlog 風立つままに」坂東真砂子さん 子猫を日常的に殺すと言う
http://d.hatena.ne.jp/kazesk/20060822

俺は猫を二匹、飼っている。スミとロミは、野良猫の母親が連れてきた子猫で、彼らにはもう三匹の兄弟がいた。最初に死んだのは縞模様の「シマ」で、自動車にひかれた。自動車は逃げた。路傍に倒れたシマを見つけた父が、病院に搬送し、獣医さんはシマの口に口をあてがい、人工呼吸したが、シマは息絶えた。次に死んだのは、白黒ぶちの雌「チョビ」で、彼女は幼くして病に倒れた。入院し、集中治療室から出られなくなった。動物病院の院長先生は、独り徹夜で看護にあたられた。先生が、早朝に電話で知らせてくれた。チョビちゃんは、今朝5:45に亡くなったと。そしてホシという名の雄は、去年の5月、車にひかれて死んだ。俺は、ホシの死から立ち直るために、1年以上を要した。
ガラマニ家の猫 http://www11.ocn.ne.jp/~garamani/3black-knight.html

長谷川京子さんは、「最後のナイチンゲール」で、従軍看護婦長の役を演じた。迫真の演技だった。学徒をかばい、戦火の中、赤ちゃんをとりあげる。生きろ、と訴える。女は、命を生むのだと訴える。婦長の教え子のお一人で、劇中での主人公だった女性は、今も那覇市助産婦を営むという。色白の長谷川さんは、俺が沖縄で出会った美人たちによく似ていた。灼熱の沖縄に住む女性らは、日傘を手放さず、真白き肌に黒髪が映えるのだ。

女優・長谷川京子さんは芸術家である。肉体と精神のちからを駆使し、いのちの尊さを表現した。さて文筆家は、なにを駆使して、なにを表現する芸術家なのだろう。作家・坂東眞砂子さんを、俺は知らなかった。kazeskさんの記事で、「功名が辻」の高知における評判に一石を投じた、ああ、あの人かと知らされた。俺は坂東さんの小説を読んでいないし、直木賞作家だということも知らなかった。長谷川京子さんのことも、「功名が辻」での細川ガラシャ以外には、知らなかった。ハセキョンと呼ばれていること?も、知らなかった。が、「最後のナイチンゲール」を見て、しっかと見て、俺は彼女の力によって、生命の力を信じようと思ったし、自分の意志を強く持とうと思わされた。

坂東眞砂子さんが書いたエッセイを読んだ。俺は、自分の飼う猫たちに、避妊手術を施している。スミとロミは雄ゆえ、去勢せねば、よそで子猫を増やし近隣住民に迷惑がかかり、結果、彼らが疎まれる。我が家も、これ以上子猫が増えれば、世話が間に合わない。さかりがつけば交通事故に遭う可能性も高くなる。彼らの安全のために、半野良を養う人間の責任として、避妊を施している。

以下引用は、坂東眞砂子さん作「プロムナード 子猫殺し」日経新聞18日夕刊記事より。全文引用はまとめサイトに。
http://news.80.kg/index.php?%B5%B4%C3%DC%BB%D2%C7%AD%BB%A6%A4%B7%BA%E4%C5%EC%E2%C3%BA%BD%BB%D2

坂東さんは、

獣の雌にとっての「生」とは、盛りのついた時にセックスして、子供を産むことではないか。その本質的な生を、人間の都合で奪いとっていいものだろうか。

と言うが、俺んちで、以前、飼っていた雌猫には、さかりはつくけど妊娠しない避妊を施していた。坂東さんの論は、この手術法をもってして瓦解する。タヒチでこの避妊法が出来ないとしても、

子猫が野良猫となると、人間の生活環境を害する。だから社会的責任として、育てられない子猫は、最初から生まないように手術する。私は、これに異を唱えるものではない。ただ、この問題に関しては、生まれてすぐの子猫を殺しても同じことだ。子種を殺すか、できた子を殺すかの差だ。避妊手術のほうが、殺しという厭なことに手を染めずにすむ。そして、この差の間には、親猫にとっての「生」の経験の有無、子猫にとっては、殺されるという悲劇が横たわっている。どっちがいいとか、悪いとか、いえるものではない。

どっちがいいか、いえるでしょう。生ませておいて、殺す方が悪い。子猫だけ殺すぐらいならば、なぜ親猫ともども、遠くの森にでも放してこないのか。そうした方が、坂東さんの言う

獣にとっての「生」とは、人間の干渉なく、自然の中で生きることだ。

の理にかなうのではないか。避妊手術はセックスできなくてかわいそうで、生ませた子を殺すのもかわいそうで、ご自分は飼い主の責任として子猫殺しを選んだと言う彼女は、はっきり言うが、きちがいとしか思えない。他に選択肢はいくらもあるのだ。坂東さんに俺が勧める選択肢は、動物を飼うのを、金輪際やめることだ。あなたに殺される数より多く、野に放たれた猫たちは、自然淘汰されるかもしれない。俺の失われたシマ、チョビ、ホシも、いわば自然淘汰だ。しかし、俺の家族と獣医師さんは、全精力を投じて彼らを助けようとした。無駄に殺される命の少ないようにと避妊をした。なにが

避妊手術のほうが、殺しという厭なことに手を染めずにすむ。

だ。人間の快・不快でしか、猫の生き方を考えられないのか。なぜあなたは猫を飼うのだ。生ませて、殺すためか!あなたは、人類と家畜が、紀元前よりえいえいと歩んで来た道のりに対する考察が足りない。時代により事情により、間引きは、人間の子にもされた。避妊法がなかったからだ!現代のタヒチであなたが行っていることは、ただただ無駄な虐殺である。知恵が足らないにも、ほどがある。
最後のナイチンゲール」で、長谷川京子さん演じる婦長さんは、日本軍と米軍が対峙する前線で、妊婦を助け、赤ちゃんをとりあげ、微笑んで言った。
「おめでとう。お母さん!」
婦長さんがこう言った戦場は、沖縄県糸満市の海岸、断崖である。ひきかえ、作家・坂東眞砂子さんは、いくらも生かす道のある生まれたばかりの赤ちゃん猫を、断崖から投げ捨て、殺している。それを新聞紙上で書いた。全文、矛盾と欺瞞に満ち、反吐が出る。

以上、長谷川京子さんの優れた演技を見た後に、この嫌なニュースを知ったガラマニが考えたことでした。

J-CASTニュースより、子猫殺しに加えて子犬殺しも。
http://www.j-cast.com/2006/08/21002622.html
http://www.j-cast.com/2006/08/23002663.html