新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

第47話 さらば六平太

六平太が死んでしまいました。俺は彼が大好きでした。今回の放送を見て、感想文を書くにあたり、どんなふうに書こうかと、あれこれ考えた挙げ句、素直ぉ〜に思いを綴るのが、いちばんエエがな。という結論に達しました。

今年度の大河「功名が辻」を語ろうとして、六平太ぬきには語れません。香川照之さんの演技力は番組一であります。47話はとびきりでした。独特の長い間、千代への深い思い。死にぎわの告白。

六「千代が、好きだ。」

この言葉をわれわれ視聴者は、聞きたくて聞きたくて、一年間待っていました。きっとこう言うだろう、言ってほしいと願ってきました。それを叶えてくれた彼は、大仰(おおぎょう)に声をはらず、泣き叫ばず…重々しくもなく、押し付けがましくもなく、たんに事実をだけ、告げました。千代が好きだと。歯を見せて笑いました。なんと爽やかな遺言でしょうか!

歴史劇における架空の人物が、これほどまでに視聴者のハートをゲッチュしてしまうのが、大河の魅力のひとつであります。

47話は、山内一豊という、有名でない人物の、史実上のクライマックスでした。

相撲大会を開催し、地元有志の皆さんを虐殺する「山内一豊」。土佐平定は徳川家康の命であれ、祖父江のムスコがじかに手を下したのであれ、じっさい大量虐殺を行ったのは、我らがヒーロー山内一豊にほかなりません。

しかし、ドラマというものは、史実をのみ描いたのでは、くそおもしろくもなんともないものです。

テレビドラマ「功名が辻」で一豊は、純朴でバカ正直が、長所な男として、ずっと描かれてきました。

では一豊の、史実にある悪辣な面=相撲大会虐殺を、どう描くのかに、俺は注目し、予想をたてていました。弟ヤストヨを悪人に仕立て上げるか、祖父江のムスコのみをその役にすることも出来たはず。しかし、手を血に染めるこの役=大役に、よりによって架空の人物をもってくるとは、驚きました。香川さん演ずる六平太でなければ、つまり歴史上の有名人よりも「存在感」を持った人物でなければ、番組最大のクライマックスの「主役」をはたすことは出来なかったでしょう。

六平太というキャラクターをここまでに育てたのは、脚本の力もありますが、大部分、香川照之さんの力量に拠りますね。しかし、すごい。六平太神演技と、何度でも書きましょう。なんてオットコマエなんでしょう!47話の晩、世界でいちばんいい男は、間違いなく六平太で、間違いなく香川照之さんでした。千代、なんでこの人と結婚しなかったんだよとまで思う。男として、こっ…こん…こんないい男は見たことがないわ!

役者としては、まったく、隙が無い。完璧とはこのこと。芸術の分野で、完璧なるものとは、ほかに無い個性を築き上げることです。芸術的才能とは、人間のあらゆる才能の中でもっとも尊いものであり、演劇という芸術で、これほどの才能を開花させている、香川照之さんとは、いったいどれほどの器なんじゃと、恐ろしくさえ思います。

しかし。だがしかし。あん〜あ、しかし。

六平太はね、千代の、年上の幼馴染みの、近所のおにいさんなの。おっきくなって再会したら、オットコマエになってたの。敵方毛利の忍者なのに、タダで情報知らせてくれるの。毛利との契約期間が満了したら、頼みもしないのに、命がけで千代に尽くしてくれるの。最後には、史実の罪を一身に背負って、好きだぁーと告白して自殺してしまってあたしは泣くのよ彼の名を呼んで。…そんな六平太って…ほんでもって、千代にはレッキとしたダンナ、言うこときく子で黙って稼ぐカズトヨがいるの。棒読み竹中半兵衛も、千代が好きって言って死んだし、かっこいい男キャラは、みーんな、千代が好きなのよぅ。

あのさ、これ、女の夢やがな。なっ…なん…なんて少女マンガのような!なんて女に都合のいい設定なんだろうかしら!

俺が「ゴルゴ13」や「島耕作」を読んでて思うのと同じ感想(=これ、男の夢やがな。プチむかつく。)を、「功名が辻」見てる男性は思うのかしらねえ。

ガラマニ作「功名が辻」第31〜40話感想文
http://www11.ocn.ne.jp/~garamani/nhk.taiga.koumyougatuji04.html