新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

第41話 あとは伊右衛門。そち一人で走れ。

大好きな孫平次が、逝ってしまいました。俺は、はらはらと泣きました。今年度の大河に、このように良い俳優、田村淳さんを起用して下さって、本当にありがとう御座います。田村さん、お疲れ様でした。渾身の演技でした。あなたが、俺と同じように、NHK大河ドラマを好きで好きで仕方がないことが、この役に全身全霊をかけたことが、滝のしぶきがごとく、ごうごうとそして爽やかに感じられた回でした。有終の美を飾られましたな。
山内一豊堀尾吉晴中村一氏の同僚トリオを、2006年度のお正月から見続けてきて、3人中でいちばんオットコマエで、ニヒルなくせに熱血漢で、誰よりも賢くて…そんなあなたがいなくなると、俺、ああ年末が近いんだな、今年ももう終わりなんだなって、そんなふうに感じます。
病に伏した中村孫平次一氏さんの家に、お見舞いに来た、一豊と千代、堀尾夫妻。かつての仲良しグループが、久しぶりに、せいぞろい。妻の乙葉さんが、「医師が言うには、夫は来年の桜は見れないと。数々の戦場を生き抜いてきましたのに、病には勝てませぬ!」と嘆きます。台所で。そう、奥さん連中だけで話す場所が「キッチン」なのにも、女性脚本家ならではのリアリティがあってよいと思いました。ドラマにはリアリティがなくては。そうでなければ、歓びも悲しみも表現できませんもの。
さて孫平次は、胸の病で、ずっと咳き込んでいます。結核でしょうか?結核で咳き込み苦しむ演技といえば、2004年度「新選組!」の沖田総司藤原竜也さん)の名演技を思い出します。俺は下記URLの沖田総司にかんする項で、藤原竜也氏の「咳き込み方」がまさに天才だと書きましたが、
新選組!オットコマエ・グランプリ
http://www11.ocn.ne.jp/~garamani/nissi29.kamo.html
本業が俳優ではない田村さん、よく勉強されたと見えて、咳で苦しむ演技が真に迫っておりました。孫平次は、一豊と堀尾さんに、「家康には付くな。豊臣を守れ。」と言います。すると堀尾さんがこう言いました。
堀「お前が一番、利にさといと思うておったが、お前が一番、潔いのかもしれん。」
と。友人の口からこう評される彼は…ああ、孫平次は、みんなに愛されてきたのだね。堀尾さんの言葉で、目がうるみました。
そして最後のシーン。掛川のきれいなお寺に家康を招き、饗応する一豊。そこへやって来た、病状の進んだ孫平次。
孫「すまん。」
そう言って旧友・一豊の手を握ります。握りかえす一豊。思い出します。仲間内で出世が早かった一豊をねたみ、嫌味を言ったり、あからさまにそねみの態度をとったこともあったよね、孫平次。ねたみそねみ。そうした負の心にあなたは負けず、自分を発奮させ、後には一豊を追い抜いたよね。若い頃にライバル意識剥き出しだったあなたが、一豊より先に精神的に大人になり、世情を冷静に見ることの出来る知将になったんだ。
家康に、合戦には弟を出しますと告げる中村一氏。家を守るため、家康側に付くことを、直に会いに行くという戦略を、死に際に判断した中村さんは、まっこと知将だ!大物武将家康=大物俳優西田敏行を相手に、威厳を持ち対するあなた、田村淳さんには、本当に最後の最後に、感動させられました!
長い廊下。一豊と、孫平次との、お別れのシーン。ああ、分かってるんだよね、二人とも。今日が、友との、永の別れの日なのだと。
孫「あとは猪右衛門。そち一人で走れ。 …功名を、立てよ。」
…泣きはらして俺、ショックのあまり、なかむら・まごへいじ・かずうじの末裔、中村忠文さんのホームページ、
中村家の会/中村忠文のページ
http://www.nihonkai.net/nakamura/activity/index.html
を読みふけってしまいましたぜ。ほう、まごへいじって、甲賀の出身だった*1んか!ああ、でも…もう孫平次に会えないの。淋しい…初期の、孫平次の若い頃の映像、また見たくなっちゃった。ああ、もっと孫平次を。
ウェブ百科事典、Wikipedia中村一氏の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E4%B8%80%E6%B0%8F

*1:中村氏の出自については諸説あり。