新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

サイト3周年のお祝いに

◆滝川久佳さん作「たんぽこ通信」
http://www.tanpoko.com/

創作小説、「伝説のオウガバトル」の二次創作小説、評論にと、八面六臂の文才を花咲かせておられる、たきがはさんが、うちのサイトの3周年のお祝いにと、オウガの短編小説を書いて下さいました!

◆「一千の言葉よりも」
http://www.tanpoko.com/ogre/19_30a.html

俺は、ゲーム「伝説のオウガバトル」をまったく知らない状態で、たきがはさんの小説を読んでいます。優れた二次創作は、原作を知ってる・知らないを問わず、ぐいぐい読ませる力があります。たきがはさんの作品は、そのお手本であります。

たきがはさんの作風に一貫してあるものは、「自分の世界」です。
好き勝手な意見を述べていれば、「自分の世界」が出来上がると思っていた俺は、何がイエスで、なにがノーかを、はっきり言える人間になることの、難しさを、分かっていませんでした。たきがはさんと、お話しさせていただけるようになって、「自分の世界」を創り上げるためにはどうしたらいいのか、また、何をしてはいけないのかを、考えられるようになったと思います。

たきがはさんの、鍛え上げられた思想と、柔軟な文章能力、シャレを解する遊び心。これら、物書きが備えるべき姿勢を、俺はいつも、たきがはさんから学んでおります。

「一千の言葉よりも」に見られるものは、人生への達観です。相容れない精神世界に住む男女が、ひとときの休息を得ます。二人は、相反するゆえに、惹かれ、拒絶し合います。たきがはさんの心理描写は、非常に、残酷なんです。グランディーナが、つれないから?ジャックの恋心が、受け入れられないから?いいえ、そんな、うわっつらな人間関係を、たきがはさんは描きません。

ジャックが、グランディーナに問い掛け、彼女が答えます。
(以下「一千の言葉よりも」から引用)

「それは至極残念な話ですよ、グランディーナ。けれどもそのあなたから、まさか感謝の言葉を聞けるとはわたしは思ってもいませんでした。まったくあなたという方は、まだまだ見極めがたいのですねぇ」
「私にはあなたも十分、理解しがたく映るがな」
「それは、褒め言葉と承っておきましょう」

いったい、自分のことを、すべて理解してくれる人が、この世界に、一人でもいるのでしょうか。男も、女も、その一人を探して生きていると思うならば、たきがはさんが描く真理を読みとくことは出来ません。グランディーナとジャックは、お互いを理解出来ないと言う。それをこそ、幸福だと、この短編は訴えているのです。なぜ?

この二人は、「自分の世界」を持つために、あがいているからです。好きな人と理解し合えないとは、辛いことです。その事実を刺してしまう、このやり取りは、残酷です。ですが、お互いの絶対的な孤独を認め合えたときに、人は、「自分の世界」を持つことも出来るのだし、そんな二人だからこそ、惹かれ合うのです。

これが、幸福でなくて、なんでしょうか。

たきがはさん、素晴らしい小説を書いて下さって、本当にありがとう御座いました!