新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

ガラマニ日誌〔17〕04/5/15(土)「県立ガラマニ高校 ~入学編~」

最近、日常生活ですさみ気味なので(苦笑)、ガラリと気分を変えて、ちょいと昔語りをしてみようと思う。

日誌〔13〕で少し書いた、俺の通った高校が、今回のテーマだ。
高校時代よりの旧友で、このサイトを読んでくれている人もいるので、あらかじめ断っておくが、

相当、記憶の中で美化され…いや、脚色しているので、そこんとこよろしこ。

中3の高校受験時、俺は、成績が、さほど良くなかった。
底辺成績ではないが、すごく良くもない、ぐらいな。俺の学校区、上位ベスト5高の、5番目には、ちぃっとばっかし無理なんじゃないですかぁ、な成績である。

受験生たちは皆、このベスト5高以内に、入れるか入れないかで、成績を競い、受験生の子を持つ親は、名誉を競っていたので、5番目に入れなかった俺は、中3の頃、学力コンプレックスに悩まされていた。

が、日誌〔13〕にも書いたように、たかが地方の高校の、何番目だろうが、どうでもいいと、すぐわかった。普遍的世界的視野に立たずとも、隣りの県行けば、誰も知らない状態なので、今になれば、中3の頃の悩みなぞ、蚊のクソより小さなものだったと思う。あー、ちぃっちぇえ、ちぃっちぇえよ。

俺の居住地は、ガラマニ県ガラマニ市。地方の衛星都市である。
ベスト5高はみな、ガラマニ市内、即ち県庁所在市にあり、俺の成績で入学可能な、普通科高校は、市外に点在していた。

ちなみに、ガラマニ県の高等学校のランク、及びハイソな雰囲気は、公立>>>私立 であったので、俺の両親も、俺自身も、公立高校希望である。
大学は行きたいので、普通科希望。男好き、いや、女ばっかはイヤなので共学希望。

そうして見渡してみると、3つの公立高校の中から選ぶしかなかった。
3高中、2高は、俺んちから、かなり遠方だった。長距離通学なんて、ゴメンだ。早起きは苦手でね。

必然的に、電車4駅で行ける、県立ガラマニ高校を選択。合格した…

さて、この県立ガラマニ高校とは。当時、俺の地方にあって、異色中の異色高であったのだ。

まず、新設であった。俺が入学して、ようやく3学年そろった。俺は、開学3期生である。県立ガラマニ高校、この新設高校の、売り、特色は、

生活指導徹底!なんである。

生活指導…なんと懐かしい響きであろうか。要するに、校則が厳しい事で有名だったのである。

当時の日本は、中学生の非行化が問題視されていた。
今で言う ヤンキー である。当時は つっぱり と呼ばれた。
俺の中学にも、番長とバンスケ(女番長)がおり、彼らときたら、ダンバイン本放送時代においても、相当、時代錯誤な、古典的変型学生服を着用し、
髪型はリーゼントで、靴下は紫いろで、上履きのかかとは踏んでます、なスタイル。

「つっぱりハイスクール ロックンロール」なファッションである。

♪かわいいあの子は くるくるパーマに 長めのスカートひきずって~♪

一方、生徒の非行化を、阻止しようとする、先生方の方針は、と言うと。

とにかく、服装がこういうスタイルになる事、近付く事は、全て不良である!
学生手帳は、校則を絵つきで解説。
前髪は眉毛にかかってはならない、女子の短髪はおかっぱが原則、
長髪の女子は切れ、切らないならば、結び方は三つ編みか、一つに束ねるのみ可、
但しポニーテール型は禁止、何もかも全て、校則の記述通りに!
制服の襟、男子、ボタンは一個もはずしてはならない、
女子、スカートの裾は、膝より上でも下でもいけない、とにかく校則の記述のみが正当である!

もう、とにかく、ほんの少しでも、校則を逸脱する者を、指して、<不良><非行化>と呼んでいたのだ。

詳細例:女子の髪型の場合

・短髪ならば、段カットだと、不良。=リムル・ルフトさん、非行少女。
・長髪ならば、結んでいなければ、不良。=シーラ・ラパーナさん、非行少女。
・髪飾りは、黒のみ許可、その他の色は不良。=キーン・キッスさん、非行少女。
・天然パーマは、ストレートパーマをかけて直毛にしないと、不良。=エレ・ハンムさん、非行少女。
・生まれつき茶系の髪は、美容院で黒く染めること。髪の色は、漆黒以外みんな不良。=教育評論家、チヨ・ザマさんも、非行少女。

<非行化>を取り締まるべく、キョウイクイインカイが、熱意を注いだものが、厳しい生活指導、なのであり、つまり、これは、目的を見失ったシステムの暴走であったのである。

※後に、この無意味な生活指導の方こそ、問題視される時代になる。
 そのきっかけになった事件が、女子高生校門圧死事件である。

俺が入学した、県立ガラマニ高校は、上記のような、キチガイじみた生活指導が、極めてキチガイな学校であった。

ガラマニ高校が、異色なのは、こうしたキチガイ生活指導は、中学校に限られており、大人年齢に近い、高校で、これをやってますな高校は、なかったのである。
新設普通科高校が、他校との競争に勝つため、差別化のために、大学進学実績が無い分、「ウチの高校に不良はいません」路線で売ろうとしたと思われる。

さて、ガラマニは、まず入学時に、父親直筆の

「天然パーマ証明書」

を提出した。

『ウチの子は、天然パンチパーマな父の血をひいたため、悲しいことに、
 ゆるやかなウェーブがかかった、醜い醜い、天然パーマなのです。
 ええ、父親である私は、繁華街を歩いただけで、そのスジの専門職の方々が、
 道をお譲り下さるほどの、極悪パンチパーマなので御座います。
 当家は赤貧で、美容院に、
 ストレートパーマを毎月かけに行かせるお金なぞ、御座いません。
 ですので、どうか、ウチの子の、愚かしい天然パーマを、お許し下さいませ。』

と、オドシをかけて、いや、お許しを請う必要があった。

ウチの親父、本当にこのような脅迫文を書いて下さって、新入生の俺自身が、担任に渡した。

父、曰く、

「いいか、ガラマニ!ケンカはな、最初のカマシが肝心なんじゃ!
この手紙読んで、まだガタガタぬかすようなら、親父自ら、校長に挨拶に行きますと言ってやれ。いいな。カマシだぞ、カマシ。なめられるな!」

このような教育を受けた俺は、不敵な笑みを浮かべ、新生活をスタートした。

入学してみて、確かに、校則はキチガイだった、いや、厳しかった。

男子の制服は、詰襟の黒い学生服。襟章は、ガラマニ高校カラーの青色の、つつじ型。
女子の制服は、同じくガラマニ高校カラーの青色のブレザーで、
これは、当時としては、割りとおしゃれな色であったが、この青色には、狙いがあったのだ。

他の高校の制服が、地味な紺色が多い中にあって、この色、目立つんである!
冬のコートは、他校が、紺色か黒なのに、ガラマニ高のみ、白いろときた。これは、街中で、実に目立つ。下校中、買い食いやゲーセンに行く等の、違反行為を、発見しやすくするためだったのだ。

靴も、かばんも指定。
かばんは、黒い牛革の学生鞄と、青色のサイドバッグ。それだけなら、まだいいが、
かばんの中の、どこの部分に、何を入れるかまで、決められているのである。

学生鞄には、教科書や辞書、文房具を入れること。サイドバッグには、お弁当や体操服を。

当時、皮製の学生鞄を、薄くぺったんこにするスタイルが、流行っていた。
我々生徒たちは、学生鞄を、いかに薄っぺらにするかを努力し、わざと圧迫してでも、薄くしたかった。
つまり、生活指導する側から言わせると、ぺったんこ鞄は<不良>なので、分厚い英和辞典や、十何冊に及ぶ、毎日の教科書・参考書を、たった1冊でも、布製のサイドバッグの方に、入れようものなら、見つけられ次第、先生が引きずり出し、

「内申に書くぞ!」

である。ましてや、明日の教科書を、教室に置いて下校しようものなら、

蛍雪時代の刑!」

である。この刑は、薄いかばんがおしゃれだと、我々生徒が切に願う、学生鞄に、電話帳並に分厚い受験雑誌、『蛍雪時代』を、何冊もねじり込み、醜くふくらませるという、極刑である。

この、かばんの中身検査は、朝、登校する際に行われた。週一だったり、抜き打ちだったり。校門を入ると、各クラス担任が待ち構えており、我々生徒たちは、先生の前に並び、1人ひとり、かばんの中を、開けて、中身をお見せしなければならない。

もちろん、この時に、かばんの中から<違反物>が発見されようものなら、たいへんである。

<違反物>とは、酒やタバコ、エロ本等の18禁モノだけではなく、
化粧品だめ、腕時計以外の電化製品(ウォークマンやドライヤー)はだめ、マンガ本だめ、弁当箱以外の飲食物ぜんぶだめ、である。没収、内申にひびくの刑である。

化粧品については、口紅などは、もちろんだめで、化粧ポーチは、地味なもののみ可、中身が本当にナプキンだけであるか、女性教師がチェック。
また、ガラマニ高校の、女子トイレには、鏡が無かった。鏡が、取り付けてあったらしいワクは、あったが、開学当初、女子生徒が、トイレにこもって出てこない、男の教師が注意しに入れない、
大学受験生は、見栄えを気にするべきでないという理由から、取り外されたとのこと。

違反物は、特に、<買った飲食物>が厳禁であった。
お菓子や、缶ジュースなどは、覚醒剤並の、害毒扱いであった。

入学式の日、これらの校則を創設した校長は、こう話した。

「そもそも食べ物とは、母親と子供との絆である。
 購入した、出来合いの食べ物、インスタント食品などは、家庭崩壊の源である。
 君たちが校内で食べるものは、全てが、お母さんの手作り弁当でなければならない。
 中には、料理が不得手なお母さんがいるかもしれないが、
 子供が、この県立ガラマニ高校に入学したならば、
 今日から毎日、料理してくれと言いなさい。
 当然、下校時に、まくどなるどで買い食いなどすれば、
 大学へは入れないと思いなさい。」

ガラマニの母は、正社員で働いており、多忙で、料理が得意な人ではないが、高校時代の毎日、俺の弁当を作ってくれた。母には心より感謝するが、この校長の話しは、唾棄した。俺は、母が働いたお金で、買ってくれるインスタントラーメンを、校長より尊敬しているからだ。

弁当は手作りのみ可、なので、昼休み、各教室に巡回教師がやって来る。
ポテトチップス等を、食べているのが見つかると、没収される。教師の中には、ポテチの袋を強奪し、袋が破けて、中身を床に散らかす者もいた。そのポテチを、買ったお金は、生徒の親が働いた汗であり、そもそも食べ物を粗末に扱って、なにが…当時の生活指導が、いかに目的を見失っていたか、よくわかる。

そして、言うまでもないが、俺は、まくどなるどどころか、家でも外食でも、飲酒をしていたが、大学には行った。

ガラマニ父の教え

「いいか、ガラマニ!規則は破るためにあるんじゃ!
 おう、部活で疲れたか、ビールいけや、ビール。
 学校でガタガタぬかされたらな、成績で黙らせるんじゃ、いいか。」

ガラマニ母の余談

母が作った、青梅の焼酎漬け、直径4センチの青梅を、夕食時に、2つ食べて、
俺が「これ、おいしいね」と言ったら、
次の日の、弁当箱が一個多くあり、昨夜の巨大焼酎青梅が、6つも入っていた。俺は、校内の昼休み、酔っ払って、廊下を千鳥足で歩いていた。母よ、ナイスソウルフルだ。


髪型の校則は、上記の列挙とほぼ同じ。
ゆるやかなウェーブが天然な、ショートヘアのガラマニは、数人のヒヒ教師に囲まれ、ボールペンでうなじをつつかれて、

「おい、ここの髪が、くるっと、曲がっとるのは、おまえ、パーマあてとるんか。違反じゃ、違反!」

俺は、こう言い返した。

「先生、女子生徒に対して、今なさったようなこと、わたしや、みんなの親御さんの前で、同じようにできるのですか」

すると黙ったので、それ以上追求するのは、見逃してやったが、生活指導日は、何度もあり、担当する教師が変わると、敵も負けていないことが、ある。

一斉生活指導は、放課後の体育館で、学年ごとに行われた。ある日の、生活指導担当教師が、天然パーマ証明書を、提出済みの俺に、

「なるべくな、ドライヤーとか使って、直毛になるようにしろ。」

と寝言を言うので、俺は、

「え?校則では、自然体を基調とすると決まってますよね。わたしの髪は、これが自然体です。直毛の子が、ドライヤーでカールさせるのは、違反ですよね?なのに、わたしにはドライヤー使えと、言われた?ええ?先生が、違反しなさいと言われた?」

すると、

「なるべくや。なるべくまっすぐの髪の方が、いいんや。」

まだ降参しないか。ならば。

「なるべく、わたしは、校則に違反しないように、自然体でいるんです。何がなるべく?」

その教師は、俺には、ようやく黙った。
ところが、彼は、全員の前で、マイクで話す段になると、怒った口調で、

「ええか!おまえらが、髪型の違反しとった事は、ぜんぶ、内申書に書くんや。内申書はな、将来結婚する時に、相手の家の人が、出身校に来て、見せてくれっていう事もあるんやで。おまえら、結婚できんでもええんか!」

するってえと、俺がいまだにケコーンしてないのは、内申書のせいなのかな~。

内申書なんて、結婚どころか、大学進学にも、なんら影響ないものである。
大学の一般入試は、レベルの高い大学ほど、試験日当日の点数が全てである。
推薦入試ならば、内申点は、通信簿の学科の成績さえ、悪くなければ通るのである。
地方の高校教師が、もしも内申書に、こいつは髪型が校則違反でしたーと書いたとしても、それで不合格にさせる最高学府なぞ、生徒数の多かった当時ですら、あるわけないのだ。

だから俺は、こんな生活指導など、全然怖くないので、鼻で笑っていたものだ。
しかし、当時はなぁ…書いてて、実に、くだらない…と、思うぞ、先生。

だが、あまり派手にイハーンしすぎて、停学・退学処分に及ぶと、お嬢様・坊ちゃま大学の、推薦入試ぐらいには、ひびくかもしれないし、閉鎖的な学校環境では、理不尽とわかっていても、先生には抵抗できない生徒の方が、多かった。

規則を遵守し、先生方には従順に、内申点と叱責を恐れる、高校生活。
生活指導と同じくらい、厳しい授業と、多量の宿題。
補習授業は、早朝、放課後もあり、夏休みも冬休みも、半分は授業日、出席は強制。

では、県立ガラマニ高校は、校則でがんじがらめな、灰色の学校であったか?

いいや。いいや。

…この中で…暗躍する一群が…いた。

彼らは、つっぱりでもなく、見た目、不良でもない…

トイレでタバコを吸うわけでもなく、ケンカ騒ぎを起こすこともない…

ただ、彼らは…かばんの中身検査をかいくぐり、

未成年少女モロ出し写真集を持ち込む(校則違反どころか、たぶん法律違反だ)。
どこに?部室に。

合法的に、シンナーをたっぷり吸う。どこで?部室で。

ラッカーシンナーでラリながら、ゼータガンダムの話しをするやつらとは。

カクリコン最高と叫ぶやつらとは。

部室内に充満したシンナー臭を、

ミノフスキー粒子がまだ薄いぜ。もっと撒け

とうそぶくやつらとは。

芸術を爆発させながら、煩悩もウキウキ爆発させる、やつらとは。

そう、それは、俺が所属する、美術部である。

(今回、いやな先生の事ばかり、書いてしまったが、もちろん、面白いイイ先生も、たくさんおられた。
 この点については、次回以降、ちゃんと言及しますぜ。ちゃんとね。ふふふ・・・
 なにせ、美術部顧問が、アレやからね。ふ・・・ふふ・・・・・・ふふふふふ・・・・・)