新ガラマニ日誌

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シャーロック・ホームズの事件簿 コナン・ドイル著 深町眞理子訳

シャーロック・ホームズの事件簿 (創元推理文庫)

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1927年の発行。前作、『シャーロック・ホームズの最後のあいさつ』(1917)から、10年もの歳月を経て、とうとう、作者コナン・ドイルは、本当の本当の、ホームズシリーズ最終巻を、書くにいたった。

記念すべき、最終巻には、ドイル自身による、けっこう長文の、前書きが載っている。書き出しは、こうだ。

わがシャーロック・ホームズ氏が、よくあるテノールの人気歌手のようになることを私は恐れる。すでに過去の人になってしまったのに、なおも聴衆の人気に甘えて、何度もさよなら公演をくりかえすのをやめられない、あの手合いだ。こういうみっともない真似は避けるべきだし、人はだれでも、生身の人間であれ、はたまた想像の所産であれ、生きとし生けるものみなのたどる道を歩まねばならない。

よっぽどイヤなんだろうなあ!!ホームズ書くのが!とも、感じられるが、ドイルの前書きを読みすすめると、第1巻『緋色の研究』の刊行が、1887年からであったこと、そして最終巻『シャーロック・ホームズの事件簿』の刊行が、1927年であることを、カシオの電卓を用いて計算してみんとすれば、ホームズシリーズは、実に

40年間

続いたわけであり、作者コナン・ドイルは、ホームズ本第1巻の『緋色の研究』をしたためた原稿用紙を、手にしていたその年に、28歳であったが、この前書きで、ホームズ終わらせてえー終わらせてえーと書いている年には、68歳になっているのだ。

そりゃ、終わりにも、したいわな。ライヘンバッハのときは、俺も、19世紀イギリスの愛読者と同じ気持ちになって、怒りもしたけど、作者も、68歳になったか。連載40周年か。そうか、そうか。

お疲れ様でした、サー・アーサー・コナン・ドイル

前書きの最後は、こうだ。

というわけで、読者諸君、いよいよこれでシャーロック・ホームズともお別れだ!長年の変わらぬご愛顧に感謝するとともに、いまはただ、諸君を日々の煩いから解放し、気分転換をうながすというかたちで、なにがしかのお返しができたことを願うのみである。


作者コナン・ドイルは、1859年に生まれ、1930年に亡くなった。作中のホームズとワトソンも、出会った時の、30歳前後だったころから、長年いっしょに夫婦漫才をし続け、それぞれ、いい歳をとって、いい晩年をすごした。

ありがとう、シャーロック・ホームズと、ジョン・ワトソン。これからも、原作小説を、何度も読み返すよ。映像化作品にも、おおいに期待してる。ずっといつまでも、俺は君たちのファンだ。