新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

第27話 お市さんさようなら

功名が辻」の脚本は、一話45分間のドラマの中に、複数のエピソードを盛り込む構成をしてます。前半部で、吉兵衛の恋人、たきが、彼の後を追い、自害しました。このエピソードと、後半部の、柴田勝家に殉死するお市さんとに、共通するテーマがありました。好きな男と、死をともにする女の姿であります。
自分だったら、たきさんや、お市さんみたいに、夫の後を追ったり、一緒に死にたいと思うかな?と、自問自答させられました。約2秒考えて、出した結論は、「相手による。」でしたが。お市さんが、夫に殉ずるとき、自分はこの年まで生きて、はじめて、女になれたと思うと言ったことが、印象的でしたねえ。織田家を守る目的で再婚した、柴田勝家。その柴田に、血の通い合う、男女の情を教わったお市さんは、いま、この夫とともに死ぬこととなり、自分の人生は幸せだったと思えた。よかったね、お市さん。
この大石静作品は、戦乱の犠牲になる女の、被害者意識だけを描かずに、死をともにしたいと思うだけの男に、めぐり合えた女の「幸」を描いており、拍手を送りたく思います。いつの時代も変わらぬものを描くことも、歴史劇の役目なのですなあ。