新ガラマニ日誌

ガラリアさん好き好き病のサイトぬし、ガラマニです。

第31話 死を悲しませてください

仲間由紀恵さんが、一生懸命やっていることは、重々、わかります。しかし、母親にとって、我が子を失うということは、他の存在を失うのとは、わけがちがうのです。
順風満帆だった山内夫妻を襲う、人の生涯で、最も辛い出来事を描く今回。仲間さんの演技力不足を補うために、脚本・演出が苦労したことがよくわかりました。それでも、だめでしたね。俺は、今までこの番組に対して、千代の動きに不満を感じても、大目に見てきました。仲間由紀恵さんという女優に、多くを望んでも無理だし、一本調子の演技しか出来なくても、今までのシーンならば、まだ許せたからです。しかし、今回は。
娘が、米姫が死んでしまったときの、千代の様子。わかりますよ、仲間さんなりに頑張ったってことは…でも、だめ。そんなんじゃない。子供を失ったら、母親は気が狂うでしょう。そんな悠長な泣き方、放心の仕方で、通用すると思ったら大間違いです。
仲間さんは「母親の演技が出来なかった」と思いますね。米ちゃんは女友達じゃないんですよ。あなたの、娘なんですよ。仲間さんは、旦那を恋い慕う演技は出来ましたが、我が子を愛する気持ちは表現出来ていなかった。そして、圧倒的に、死生観にかんする考察が足らない。娘でなくとも…思い返すに、千代が、隣人の「死」を感じたさいの表現は、すべて物足らず、感動できなかった気がします。
登場人物の「死」を、視聴者に悲しいと思わせる。それが役者の仕事なのですが、仲間さんは俺を、心底悲しい気持ちにさせることが出来ていない。致命的な欠陥です。勉強不足です。
歴代大河ドラマから、死を悲しむシーンを思い浮かべると、「武田信玄」で、信玄の嫡男、武田義信(堤真一さん)が殺されたときの妻。演じたのは古村比呂さんです。夫を失い、発狂し、激昂し、放心し。このシーンは、一回見ただけですが、たぶん俺は、一生忘れないだろうと思います。あのとき古村比呂さんは、まだ若かったけれど、芸術的霊感を備えた女優さんでした。
大河で描かれた「死」といえば、「新選組!」で、山南敬助切腹する回。説明は不要でしょう。日本中を震撼させた「友の死」です。友人を死なせた土方歳三山本耕史さん)が、ラストシーンで号泣したとき、一緒に号泣しなかったファンはいなかったじゃないですか。古村比呂さんも山本耕史さんも、うら若い青年で、実際に近親者を死なせた経験などなくとも、視聴者を泣かせるといいう、役者の仕事を立派に果たしたわけです。「功名が辻」はこの先、多くの「死」を描かなければならなくなります。ヒロイン仲間由紀恵さんには、試練の日々になるでしょうが、どうかもっともっと血反吐をはいて、演技に没頭してほしく思います。